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他のフォレンジック会社に解析を依頼したが、報告書を訴訟・裁判にどう活用すべきかが分からない

このページでは、既に他のデジタル・フォレンジック調査の専門会社に解析業務を依頼したけれども、調査報告書などの解析結果を、訴訟・裁判・懲戒処分などに、どのように活用すべきかについてお困りの方に向けた情報提供を行っています。「他社のフォレンジック調査でお困り&セカンドオピニオンが欲しい方へ」ページのサブページです。

目次

フォレンジック会社との事件に関する情報共有が大切

他のフォレンジック会社に調査を依頼された方々いただくなかで、最もご相談が多いのは、受け取った解析レポートをどのように解釈すればよいのかが分からない、というものです。あるいは、解析レポートに書かれていることは理解できるけれども、事件対応において何の役に立つのかが分からない、という困った状況です。調査報告書はフォレンジック会社によって形式も記載内容も異なります。特に定まった書式があるわけではありません。しかし、ここでの問題は報告内容が技術用語の多用のために理解できないという問題ではなく、調査報告書での記述が、裁判における主張や争点の裏付けになる必要があるところ、何をどう読めばそうと解釈できるのかが分からない、という問題です。この原因はもしかすると、フォレンジック会社の担当者への情報提供不足だったかもしれません。

ここで思い起こしてみてください。フォレンジック調査の着手段階で、事件の背景や社内の状況などを解析担当者から尋ねられた覚えはありますか?もしも事件に関する情報を詳しく伝えていない場合には、その調査は解析目的が共有されないまま行われたのかもしれません。何を目的として何を判明させることが必要なのかを解析担当者が認識していなかった、という意味です。

他にも、フォレンジック会社との間に仲介業者が存在する場合も、同様の問題が生じることがあります。こうした問題が起こる原因は、結局のところコミュニケーション不足です。そもそも訴訟におけるフォレンジック調査は、大前提として「法的に有効な証拠」を見つけることです。しかしながら解析担当者に事件の知見が無ければ、何がその事件での証拠になるのかを把握することなく解析を行うことになるわけです。もしかすると、会社にとってマイナスな情報が世の中に知れ渡るのを避けるつもりで、調査を依頼するにあたって「社内の不正に関する情報を、フォレンジック会社に一切伝えるな。」といった指示が出ていたのかもしれません。

しかし、事件背景の共有なしのまま調査が行われた場合には、その調査報告書の記載事項は、的を射たものにはなりません。何を解明すべきかが不明なままデジタルフォレンジック調査が実施されても、テンプレート方式の調査業務として定型的な解析が行われるだけです。つまり、訴訟に必要なピンポイントのデジタル証拠は得られませんので、調査が終了して報告書を受け取っても「ん?なにこれ?裁判で役に立つの?」といった疑問が生じてしまうことになります。

もしそれがテンプレート方式のフォレンジック解析だったとしても、分厚い解析レポートには有効な証拠が含まれているのかもしれません。しかし「これが証拠です。」とピンポイントな説明がなされることはありません。調査を担当した人物は、何を探せば証拠になるのかを知らなかったからです。こうなってしまうと有効なデジタル証拠は偶然レポートに潜んでいることに期待するしかありません。

とくに訴訟・裁判を視野に入れてのフォレンジック調査は、初めて依頼される方々が多いと思います。そのため情報の扱いにセンシティブになり過ぎてしまい、それが調査の妨げになってしまうことがあります。フォレンジック調査によって欲しかった情報の入手ができなかったときには、フォレンジック会社への情報提供が十分であったかどうかを見直していただくと、状況の改善につながるかもしれません。

訴訟・裁判を専門としないフォレンジック会社がある

前段では、フォレンジック会社との情報共有に不足があった可能性について触れました。しかし、訴訟での調査報告書の活用方法を見出すことができない原因を作ったのは、当然ながら依頼者だけではありません。フォレンジック会社が予め目的や用途を把握しようと、事件背景に関する情報提供を要求していたら、避けられた事態だったかもしれないのです。では、なぜ質問を受ける機会もなくフォレンジック調査が完了してしまったのでしょうか?もしかするとその調査は「フォレンジック解析業務」を完了させることが目的の調査であって、「訴訟・裁判で必要なデジタル証拠を資料化すること」が目的になっていなかったからかもしれません。

まず、デジタルフォレンジック解析技術を使う調査サービスが対象とする事案にはいくつかの分野があります。そのうちサイバーセキュリティや内部不正の場合には、調べた結果を報告することがゴールになります。つまり、報告を以って調査が終わる流れです。もちろん調査開始にあたり、フォレンジック会社から何の質問もされないようなことはないでしょうし、依頼する側からも調べて欲しいことは伝えてあったはずです。ですので事前に同意した状況でフォレンジック調査が開始されていたでしょうから、誰かにに落ち度があったというわけでもありません。

ところが「訴訟・裁判」が前提の場合には、フォレンジック調査の結果報告は、ゴールではなく、スタートになります。1回目の結果報告の後は、さらに解析と分析が繰り返し行われ、最終的に裁判所に提出するための証拠資料が形成されるような流れです。早ければ数週間から2か月程度で終わりますが、事件によっては1年以上かかることも珍しくありません。もう一点。訴訟が前提となるフォレンジック調査は捜査機関では行われていますが、民間で訴訟を専門とするフォレンジック会社は多くは存在しません。むしろあまり無い、と表現する方が正確です。

たとえば、不正に削除された契約書に関する情報収集が調査目的だったとします。すると依頼者の要望に基づき削除データの復元解析がフォレンジック会社によって行われ、もしもそのファイルが復元されなければ、証拠がありませんので訴訟は断念という形でクローズになることがあります。このとき、フォレンジック会社による調査業務としては確かに依頼された通りに実施されて、結論が出たわけですので、特段問題はありません。しかしながら、訴訟・裁判を専門とするフォレンジック会社は、削除データの復元解析だけを調査目的にすることは、通常ありません。そもそも調査の着手時に事件背景を把握し、何がデジタル証拠になり得るのかを検討し、それを代理人弁護士を含む関係者で協議したりします。そして、仮に探し求めていた削除データの復元ができなかったとしても、それはあくまで解析結果のひとつであり、だからと言って証拠なしと判断されるようなことにもなりません。そもそも不正に削除された契約書ファイルの復元解析だけを調査における実施事項にはしません。なぜならば、デジタル証拠は他にも様々な形で見つかる可能性があるからです。

解析対象がサイバーあるいは訴訟のように異なる分野であったとしても、用いるデジタルフォレンジック解析技術は基本的には同じです。そのため解析そのものは、専門とする分野が対象ではなかったとしても、ある程度までは実施可能です。そのため訴訟を専門としないフォレンジック会社であったとしても解析自体は実施可能です。しかしながら、訴訟・裁判を主戦場とするフォレンジック会社であれば、法的な判断に必要なデジタル証拠の形成を目的とした調査を行います。そのためには代理人弁護士を含む関係者との協議も行われますし、調査方針に関する合意が形成されたり、情報共有が進むなかで、報告書に記載が必要な情報は次第に固まってゆきます。そうすると必然的に、読めば分かる「訴訟・裁判の証拠」が出来上がります。

ここであらためて。訴訟・裁判を見据えてデジタルフォレンジック調査を行う目的は、調査を完結させることではないはずです。その先にある裁判の結果を期待する通りのものにすべく、真正なデジタル証拠を用意することです。

セカンドオピニオンが有効かもしれません

フォレンジック調査は、関係者間での情報共有が大切であることをこのページを通じて説明してまいりました。しかしながら、すべてのフォレンジック会社が同じ姿勢で調査に取り組んでいるわけではありません。とくに訴訟においては、事件ごとの個別対応を必要とする割合が大きい、という特性があります。そして、その特性を重視するほどデジタル証拠は見つかります。分からないことは、とことんフォレンジック会社に尋ねて疑問を解消すべきです。もしも思うように進まないときにはセカンドオピニオンを求めることもお考え下さい。アイフォレンセ日本データ復旧研究所(株)は訴訟・裁判に向けて真正なデジタル証拠を資料としてご用意いたします。

以上

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