消えた・初期化・フォーマットSDカードの動画復元プロ向けガイド

SDカード消えた動画の復元プロ撮影のムービー
目次

データ消失トラブル発生・動画ファイルが消えた!

カメラマンや撮影スタジオでのデータ消失トラブル原因は様々です。急にカードが読めなくなったり、フォーマットされていませんとエラー表示されたり、あるいは間違えてフォーマットしてしまうケースもあります。また、このページでは動画データだけでなく消えた静止画像(JPGやRAW)も解析対象に含んでいますが、弊社ご利用いただく前に復旧ソフトや他社サービスをご利用になられている方々ほど、動画データの復元に関するご相談が多いため、このページではあえて動画データを復元対象と記載しています。

  • 撮影データをバックアップする前に、SDカードを初期化してしまった
  • データ復旧ソフト(有料・無料)を使ったけれども復元できなかった
  • 損害賠償や法的措置の対応を要求されている
  • クライアント(撮影を依頼したお客さま)が、これまでの調査に納得しない
ディスクの挿入:リムーバブルディスクにディスクを挿入してください。
エラーメッセージ:「ディスクの挿入」リムーバブルディスクにディスクを挿入してください。

また、動画データだけでなく消えた静止画像(JPGやRAW)も対象に含みます。事前にデータ復旧ソフトや復旧サービスをご利用になられている方々ほど、動画データの復元に関するご相談が多いため、このページではあえて動画データを復元対象と記載しています。ですが、静止画像も対象に含まれますのでご安心下さい。

  • 動画データ(MP4、MOVなど)
  • 静止画データ(JPG、RAW各種)

さて結論を先に申しますと、消えた撮影データの復元見込みは「あり」です。実際に弊社で復元した映像が、ニュース報道やテレビ番組で放送されたこともありますし、歌手のライブ映像として販売されたものもあります。もちろん結婚式映像もたくさん復元しています。いずれもプロカメラマンにより撮影された映像・画像です。

  • データ復元実績のある撮影機材(カメラ)メーカ
    Sony(ソニー)、Canon(キャノン)、FUJIFILM(富士フィルム)、Nikon(ニコン)、GoPro、DJIなど
  • データ復元実績のある記録媒体(カード)メーカー
    SanDisk(サンディスク)、Transcend(トランセンド)、Sony(ソニー)など

動画カメラ用SDカードの特徴

  • 動画ファイル(MP4やMOV)を記録していた
  • 撮影の前にカメラでカードをフォーマットした
  • 「フォーマットされていません」と突然のエラー表示
  • カードの初期化(フォーマット)して全ての動画が消えた
  • 同じSDカードでの初期化後の撮影は「あり」又は「なし」

すでに別のデータトラブル時にデータ復旧ソフトで成功したご経験のある方ですと、この状況ならまだ望みはある、と思われることでしょう。ところが、「動画撮影にカメラで使用したメモリカード」のデータには「巨大な壁」があります。それは「映像ファイルの断片化」です。

多くのカメラでは、動画撮影の際に、映像データがSDカード内で分割されて記録されるしくみになっています。それでもユーザには1ファイルはあくまで1ファイルです。パソコンにSDカードを接続しても、動画ファイルが断片化しているかどうかは分かりません。これはFAT32やexFATというファイルシステムが複数の断片を、ユーザが意識することなく、コンピュータ側でつなぎあわせて1つのファイルとして扱えるように機能しているからです。

SDカード内の動画ファイルは断片化していますが、パソコンや外付けHDDなどに取り込まれるときには、多くの場合その断片化は解消します。そのため、パソコンや外付けHDDの動画ファイルを削除した後に、ソフトを使えば、問題なく復元できることもあります。

ところがSDカード内の動画は、断片化したままです。初期化なりカードトラブルなりで、ファイルにアクセスできなくなった場合には、断片化したままアクセス不能になっていることになります。

データ復旧ソフトには限界がある

このページを読まれている方は、おそらくデータ復旧ソフトはお試し済みだと思います。また、専門業者に依頼された方もいらっしゃると思います。もしかしたら復旧事業者の方が読んでくださっているかもしれませんね。さて、一般的に多くの復旧業者はデータ復旧ソフトを利用しますので、ソフトも業者も同じ結果を生むものとお考えください。

ソフトの「成功例」はネットでも簡単にみつかります。しかし、「失敗例」や「復元できない原因」を深く掘り下げた情報は、ほぼありません。そのため、「まずはAで挑戦してみて、もしダメだったらBをトライしてみよう」という行動になりがちだと思います。すると、どうして復旧ソフトを何種類も試しつつ、なぜ復元できないのか、望みは残されているのか、何もはっきりしないまま時間が過ぎてしまいがちです。そこで、このページではソフトでは復元できなくても、まだ望みがあることを、「科学的に正確な根拠」にもとづいて説明しています。

データ復旧ソフトのスキャン結果

ここに示しているのは、カメラのSDカードを復元アプリでスキャンした結果です。このページをご覧になる前に、復旧ソフトを試した方には、ある程度見覚えがある状況ではありませんか?

データ復旧ソフト:ディープスキャン結果
データ復旧ソフト:ディープスキャン結果
  • スキャン結果には、動画ファイルが拡張子ごとにグループ分けされている
  • 検出数は、およそ撮影したショット数と一致している
  • ファイル名が、普段扱うときとは異なっている。
  • ファイルサイズが、正常なものもあるが、極端に小さいものや大きなものがある
  • 映像のプレビューが表示されない
  • 復元したが再生できなかった

スキャン結果よくある3タイプ

スキャン結果の表示タイプは、さらに次のような3タイプに分かれます。

ファイル名とサイズが正しくない1
ファイル名とサイズが正しくない2
ファイル名とサイズを正しく検出

このあと、3タイプについてそれぞれ詳しく説明します。ウィンドウやアイコンの見た目がちがっていても、ほぼいずれかのタイプに似た結果表示になると思われます。お急ぎの方は、見覚えのあるスキャン結果と同じタイプの解説をお読みください。

ファイル名とサイズが正しくない1

スキャン結果1:ファイル名とサイズが正しくない

MP4のファイルとして検出されたファイルには、元々カメラが撮影時に付与したものではないファイル名がつけられていることがあります。例えば、「ファイル名なし」や「File Name Lost」という表記です。ファイル名がオリジナルではないという点については、まず問題になることは無いと思いますが、ファイルサイズが異なっているのはスキャン結果が芳しくないことを示しています。

これらのファイルが検出された理由は、ファイルヘッダと呼ばれる識別情報を検出したからです。SDカード全体をスキャンして、MP4に特有の識別情報が検知されたことを以って「ファイル検出」としているため、元ファイル名は不明ながら連番を付与して管理している、という状況です。

ファイル名とサイズが正しくない2

スキャン結果2:ファイル名とサイズが正しくない2

前項と同様に、MP4として検出されたファイルがあります。前項との違いは、ファイル名が連番のようでありながら、見慣れない文字と数字の組み合わせになっている点です。例えば、「000E020000.MP4」や「E220000.MP4」とういう表記です。ファイル検出の原理は前項と同じく、MP4に特有の識別情報(ファイルヘッダ)を検知するというものです。

前項と異なるのは、各ファイルヘッダの検出位置情報を、そのままMP4ファイルのファイル名に採用している点です。こうした特性はデータ復旧ソフトウェアごとに異なります。ただし、ファイル復元性能には影響のないものです。どちらが優れているというものでもありません。

なお、ここでもファイルサイズは正常に表示されていません。ファイルヘッダの検出によるデータ復旧技術は、「ファイルカービング」とも呼ばれ、多くのデータ復旧ソフトにも搭載されていますが、ファイルサイズを必ずしも正常に認識できないという特徴(欠点)があります。

ところで、静止画像よりも要求レベルが高いのが動画ファイルの復元です。MP4ファイルの復元は、JPGのような静止画像とは異なり、わずか1バイト指定がずれるだけで全く何も再生できないファイルになることもあります。

ファイル名とサイズを正しく検出

スキャン結果3:ファイル名とサイズを正しく表示

これは期待できる検出結果です。ファイル名とファイルサイズが正常に認識されています。実際に、このようなスキャン結果が得られた時には、ファイルを正常に復元できる可能性もあります。でも、だとしたらこのページをご覧になられてはいないでしょう。ですので、ここではファイル名と容量がファイル復旧ソフトによって正常に認識されたが、それでもムービーの再生ができなかったことを想定します。

SDカードには「ディレクトリ・エントリ」と呼ばれる情報があり、ファイル名とファイルサイズは、そのディレクトリエントリが保有します。そして、ディレクトリエントリには、各動画ファイルの記録開始位置の情報も含まれています。そのため、復旧ソフトのスキャンでファイル名とファイルサイズが正常に認識された場合には、その動画ファイルの記録開始位置も正しく検出されたことになります。ここまで聞くと、「なぜ復旧できないの?」と思われるでしょう。実は、各ファイルがSDカードのどこに記録されているか、という情報は、ディレクトリ・エントリが完全に保有しているわけではないのです。かわりにFAT(ファイル・アロケーション・テーブル)がその情報が持っています。

つまり、FATにトラブルが生じている場合には、ファイル名とファイルサイズが正しく検出されても、動画ファイルを復元することはできません。もしこれが断片化が生じていないJPGやRAWならば、FATが破損しても、データの復元は見込めます。しかし動画の場合、カメラにもよりますが、ファイルの断片化を考慮しないわけにはいきません

結局、期待できそうなスキャン結果ではありますが、そうした理由により、ファイル名とファイルサイズが正しく検出されていても、正常に再生できる動画として復元できないこともあります。

ソフトで復旧できなければ物理的に故障?

データ復旧ソフトのWEBページでしばしば、「このソフトで正常で復元できないときは、メモリーの物理的な損傷が原因として考えられる。」といった情報を見かけます。たしかにそういうこともありますが、正確には「ソフトで復元できる範囲は限られている。」ので「ただちに物理的な損傷と判断しなくてもいい。」です。

動画ファイルの復元機能をソフトウェアに組み込むにしては、想定すべき解析パターンが膨大すぎます。そのためファイルシステム仕様に沿った削除ファイルの復元ぐらいまでが現実的なラインになります。ソフトが対応していないからといって、復元見込みがないと決まったわけではございませんので、この点はご安心下さい。それに、物理的な損傷かどうかのテストは復旧ソフトではできませんので。

復旧ソフトによるexFATの動画ファイル復元の限界ライン

SDカードに生じたデータトラブルのタイプによって、復旧ソフトで復元できるか、できないかを分類のが次の表です。ここでは各機能別データ部位が、消失もしくは損傷した場合における、動画データ復旧の対応可否を〇と×で表しています。

機能別データ部位主な役割データ復旧ソフト&一般の復元業者アイフォレンセ日本データ復旧研究所
パーティション・テーブル(MBR)パーティション管理
ボリューム・ブート・レコード(VBR)クラスタサイズやFATの位置など、区画内のデータ記録仕様を格納。
ファイル・アロケーション・テーブル(FAT)断片化したファイルの、断片の配置情報。ブロック(クラスタ)ポインタに該当。×
ディレクトリ・エントリファイルの記録開始位置、ファイルサイズ、ファイル名。×
動画データ記録領域復元対象である動画データが格納されている領域。必須必須
exFATのSDカードに記録された動画に断片化が生じていた場合における動画ファイルの復元見込み

パーティション・テーブル(MBR)のバイナリ・消失及び損傷

次の図は、メディアの先頭位置にある正常なMBRの一部です。パーティションテーブルの情報が消失すると、コンピュータは媒体の認識ができなくなってしまいますので、通常動作は不能に陥ってしまいます。しかし、この程度の欠落であれば、ソフトでの対処を見込むことができるでしょう。理由は、このMBRに続くVBRを解析すれば、MBRの値を算出できるからです。

マスター・ブート・レコードのバイナリ
マスター・ブート・レコードのバイナリ

ボリューム・ブート・レコード(VBR)のバイナリ・消失及び損傷

次に示すのは、ボリュームの先頭位置にある正常なVBRの一部(先頭箇所)です。ボリューム・ブート・レコードの情報が消失すると、コンピュータは媒体の認識はできるものの、フォルダやファイルを表示することができない状態に陥ります。ファイルの記録仕様がセットされる重要な情報ですが、このVBRについてはある程度パターンがありますので、MBRが正常であれば、必要充分な情報は再生成が可能です。この理由から、データ復旧ソフトでも復元を見込めるダメージといえます。

ボリューム・ブート・レコードのバイナリ
ボリューム・ブート・レコードのバイナリ

ファイル・アロケーション・テーブル(FAT)のバイナリ・消失及び損傷

次の画像は、FATの一部を切り出したものです。4バイトずつクラスタの使用状況が記録されています。パッと見た限りでは複数クラスタが連続して割り当てられているファイルの情報に見えますが、1か所「16 A4 05 00」というデータがあります。これはそれ以前までの連続割り当てとは異なる離れた場所に、次の断片があることを示しています。つまり断片化した動画ファイルを復元するための手がかりになる情報です。

ファイル・アロケーション・テーブルのバイナリ
ファイル・アロケーション・テーブルのバイナリ

この情報があるからこそカメラやパソコンでは、ファイルに断片化が生じていたとしても、ユーザにそれを意識させることなく、ファイル操作を行うことができます。ところが、このFATが消滅すると、どの断片を、どの順序で連結すればよいのかが分からなくなってしまいます。これはデータ復旧ソフトにとっても致命的な現象です。なぜならば、このFAT情報は、MBRやVBRのように他の情報に基づいて算出したり再生成することができないからです。

もしSDカードをデータ復旧ソフトでスキャンして、半分ぐらいの動画ファイルを復元できたとしたら、このFAT情報が半分だけ消え残っていたのかもしれません。なお、exFATではFAT32とは異なり、FAT情報の複製分が存在しません。そのためFAT32が主流であった時代よりも、データ復旧の壁は高くなっているとも言えます。

なお、復旧ソフトのスキャン結果に、元のファイル名とファイルサイズが正しく表示されているにも関わらず、動画ファイルの復元ができない場合には、FAT情報の欠落や消失が考えられます。見た目では最も期待が持てそうなスキャン結果ですが、実際にはソフトでの復元を見込めないダメージ状況です。

ディレクトリ・エントリのバイナリ・消失及び損傷

次のバイナリは、ディレクトリ・エントリの記録領域の一部を切り出したものです。「6F A4 05 00」と書かれている箇所が、ファイルの開始セクタ番号(369,775)を表しています。続く「27 4B 02 14」はファイルサイズ(335,694,631バイト)を示し、少し間をあけて「43 00 33 00 38 00 31 00 35 00 2E 00 4D 00 50 00 34 00」はファイル名(C3815.MP4)を表しています。

ディレクトリ・エントリの情報も、FATと同様に消失してしまうと別情報から再生成することができません。厳密にはFATを深く解析すれば、ディレクトリエントリの一部分は再生成することもできます。しかし、動画ファイルの復元が目的であれば、あえてこのディレクトリ・エントリを作り出す必要はありません。よほど事件調査時のデジタル・フォレンジック解析でのニーズがあれば別ですが、データ復旧がテーマの事案においては、再生成は行わないでしょう。

かといって、重要性が必ずしも低いわけではありません。データ復旧ソフトでは「例外処理」ができないため、スルーされてしまいますが、破損したディレクトリ・エントリの断片などがわずかでも検出されるなら、ファイル復元の重要な手がかりになり得ます。

なおスキャン結果に、元のファイル名が表示されていないときは、このディレクトリ・エントリに異常が生じていると見込まれます。そのため、復元できそうで実際には復元できない、という事態になりがちです。

ファイル断片の切れ目やクラスタ区画の境目の検出が必要

ここに示すバイナリデータは、動画データの映像部分、つまり復元目的であるファイルの本体部分です。これがなければ復元はできません。さて、ファイルは基本的にクラスタで管理されていますが、動画本体にクラスタ番号が埋め込まれているわけではありません。そのため各断片をいかに解析しても、クラスタ番号を知ることはできません。カメラ動画の復元がソフトでは困難な要因のひとつです。

ところで、この図の領域は、クラスタ区画をまたいでいます。どこがクラスタとクラスタの境目か分かりますか?手がかりになる情報が埋め込まれているわけではありませんので、このデータだけを見ても、そのボーダーを判別することはできません。でも、動画を正常に復元するためには、このボーダーを1バイトもずれることなく探し出す必要があります。ちなみに上図におけるクラスタの境目は、「8F 10 2C 2B」と「BE C8 E6 C1」の間です。

このように、動画データを深く解析することで、どの断片をどの順番で結合してゆけばよいかを特定してゆきます。ここが動画復元の最も重要なポイントです。大切なので繰り返します。まず、ファイル断片がSDカード内のどこに配置されているのかを特定します。次に、それらの断片を順番通りに並べて結合します。そして、完璧に元通りに再現できた場合に限り、映像データとして正常に再生することができます。※市販ソフトや一般の復旧業者では、この解析は行いませんので、通常は復旧ができないと判断されます。

ここまで到達すれば、もうほぼゴールです。あとはお客様のご確認をお待ちすることになります。

正常に再生できる動画例(撮影場所は大阪中之島)
正常に再生できれば復元完了!

メモリカード初期化について

いわゆるクイックフォーマットであれば、ソフトで静止画の復元ができることをご経験された方も多いと思います。それなのに動画は復元ができない。それは「ディレクトリ・エントリ」と「ファイル・アロケーション・テーブル(FAT)」が丸ごと消えるからです。つまり、ソフトの性能がスキャン結果に影響したのではなく、カード内の映像ファイルの記録仕様が関与しているのです。

だからと言ってあきらめる必要はありません。動画データ記憶領域に、映像の断片が全部残っている可能性もあるかあです。以下に実例をご紹介します。

SD初期化&次の撮影のあと、消失動画を復元した実例「Sony α7S III」

ここでご紹介する実例は、撮影時のカメラと、初期化とその後の撮影に用いられたカメラが異なる機種(設定)であった事例です。初期化後の上書き撮影に用いられた「Sony FX3」のデータ記録仕様に比べ、「Sony α7S III」のデータ記録はプロキシー動画も記録される仕様であったため、映像データの断片化が多く複雑になっていました。メモリカードの初期化とその後の撮影によりポインタ情報は完全消滅していましたが、映像データのバイナリ断片が残存していたものをつなぎ合わせることにより、無事きれいな映像の復元に成功しました。

  1. 「Sony α7S III(ILCE-7SM3)」で「SanDisk製64GBのSDカード」を用い動画撮影(MP4形式)
  2. 上記のSDカードを「Sony FX3(プロフェッショナルカムコーダー:ILME-FX3)」で初期化(フォーマット)
  3. 「Sony FX3」で、そのまま約16GB相当の動画撮影を実施。
  4. SDカード初期化前に「Sony α7S III」で撮影した映像のバックアップが存在しないため、弊社へカードご持参。
  5. 香盤表(カット表)と照合していただき、必要なショットが全て復元に成功したことをご確認。即納品。

あえてフォーマットしてからソフトでスキャン?

ときどきお客様から、「認識できなくなったカードは、初期化してから復旧ソフトを使えば良いと聞きましたが本当ですか?」というご質問をいただきますが、絶対にやめた方がいいです。ソフトの手助けになるとしたら、VBRの位置検出程度です。しかし、その程度のヒントを今の時代の復旧ソフトが必要とするとは思えません。どうしても試されるなら、論理セクタ領域全てのクローンを作成してからです。そもそも、トラブルの生じたSDカードをソフトで直接スキャンするようなことは、すくなくとも弊社では行いません。それ自体リスキーだからです。

初期化により、動画データ記録領域が抹消されるカードに要注意

ひとつご注意いただきたいことがあります。それは最近のメモリカード/SDカードは、初期化フォーマットをすると、ほぼ一瞬にして動画データの断片が記録されている領域まで、データが抹消されてしまう製品があるということです。そうした場合には、このページでは解説していない技術を適用する必要があります。いわゆるNANDメモリへのダイレクトなアプローチにより記録データを抽出し、変換などの処理を経てから動画ファイルの復元処理を行うというものです。これについてはいずれ別ページで解説します。

データ納品までの主な流れ

次に弊社でのデータ復旧のおおまかな流れを記載します。ウィザード方式で復元できるようなツールは存在しませんので、まずはエンジニアの職人技で復元アルゴリズムをつくることになります。なお、復元アルゴリズムは各SDカード個体ごとに専用のものをつくります。ミラーリングされたカード以外はデータ記録が同一のものは存在しませんので、さすがにこれはご依頼の都度、個別に作ります。また比較的多くのケースで、アルゴリズム設計の時間を短縮するために、お客様にご協力もお願いしています。そうすることで、緊急対応時には即日~数日ほどで復元に至ることもあります。復元納期まで時間がせまっているときは予めその旨をお伝え下さい。

  • 消えた映像データ専用の復元アルゴリズム設計
  • 復元アルゴリズムを自社開発ソフトウェア「Aiforense Binary Code Analyzer」に実装
  • 消えた動画を復元して出力
  • お客様によるご確認&データ納品

復元アルゴリズムができてしまえば、あとはソフトウェアに実装して出力です。弊社には、バイナリデータを扱うための自社開発の専用ソフトウェア「Aiforense Binary Code Analyzer」があり、データ復旧以外にも、デジタルフォレンジック調査や、データ消去検証などにも活用しています。こちらのページで少し触れています。

技術員が常駐する復旧ラボで受け付けています

アイフォレンセ日本データ復旧研究所にご相談いただく前に、大切なデータを、あきらめないでください。我々はお客様のデータを、ひとつひとつ丁寧に解析し、映像を復活させるためにアプローチしてゆきます。

  • 本当に映像が復元できないほど消滅しているのかどうか、わからない。
  • 復旧専門サービスも利用したけれど、なぜ復元できないのか、説明がない。
  • そもそも、どこまで判明するものなのかも分からない。
  • どうしていいのか分からないが、時間が経つほど問題は深刻になりつつある。

このようなお悩みお答えいたしますので、どうぞご遠慮なくお問い合わせ下さい。秘密保持契約の用意もございます。

また、これまでに、アメリカで撮影された結婚式映像が消失し、担当カメラマンがアメリカ国内のデータ復旧会社に依頼しても復元できず、その後、日本国内で複数のデータ復旧サービスもご利用になられ、最終的に当社で映像の復元に成功したこともあります。

お急ぎの場合には、メモリカードの直接お持ち込みもOKですし、クライアントへの経過報告が必要な場合には報告書の作成や調査会議(Web会議方式)も承ります。テンプレート方式のサービスではございませんので、心配な点などもどうぞお気軽にご相談下さい。

※このページではカメラマンが撮影した結婚式、コマーシャルや番組制作用の映像、およびSNS用に撮られた商品・製品・施設の紹介ムービーを主な対象として解説しています。また、カメラ本体に挿入して映像を記録したSDカードなどのメディアを対象とし、いわゆる論理障害対応のなかでも極めて高度なデータ復旧技術が必要なトラブル症例を想定しています。

プロカメラマンによる撮影データの救出が必要な場面

動画撮影したSDカードにトラブル発生。データ復旧ソフトを何種類も試し、撮影ショットと同じ数のスキャン結果だけど、映像が壊れて再生できない。データ復旧の専門業者にも依頼したけれど復元不可。あきらめるわけにはいかないので、さらに何社にも相談し、メディアも送付して調査してもらったが、いずれも復旧に至らず。できればクライアントに報告する前に復元させたい。同様のご相談は、プロカメラマンや番組・映像制作のプロから多くいただいています。

  • 結婚式(挙式・披露宴)
  • テレビ番組(ニュース、バラエティ、スポーツ、ドキュメンタリー)
  • テレビコマーシャル(タレント、モデル、化粧品、キッチン用品)
  • 会社紹介映像(プロフィール、商品・サービス案内)
  • インタビュー映像(政治家、学者、お笑い芸人)
  • 講演・講義(大学教授、専門家)

あるいは、このページをお読みの方が、撮影を依頼したクライアント側(結婚式やイベントの運営会社、新郎新婦、スポンサー企業など)の場合には、撮影会社から映像が消失したことを伝えられ、その後もデータ復元にむけて取り組んでいると報告を受けているものの、いつまでたっても明確な成果が出ないことにイライラされている状況かもしれません。

もしかすると、データ復旧ソフトを使って復元できないと診断した専門業者のレポートに基づき、すでに動画ファイルの復活を断念してしまった方もいらっしゃるかもしれません。でも、それらの絶望的な診断結果は、当社では逆転できるかもしれません。復旧ソフトでスキャンするだけではないからです。

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